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扶桑社版は戦争を美化している(歴史教科書)

 21日付本欄(十勝毎日新聞)の熊原氏の投稿に反論します。当時の日本政府が「徴用」や「移入」を「正式」名称として,強制連行し,強制労働をさせたことは,「西松建設中国人強制連行事件」(広島高裁),「中国人強制連行事件北海道訴訟」(札幌地裁)等々の判決や道北の朱鞠内ダムが強制連行された朝鮮人の強制労働の現場だったことなどから明らかです。各判決書も強制連行・強制労働の用語を使用しています。南京大虐殺については,十数万以上の虐殺が行われたとの見解が歴史学者の通説です。また,従軍慰安婦という言葉が法令等で規定されたものでないことは当然ですが,東京地裁の判決も慰安所および売春を強いられていた従軍慰安婦の存在を認定しています。
 しかるに,「徴用」という言葉で強制連行の実態を隠したり,南京大虐殺や従軍慰安婦について,「学術的に『その論拠は破綻している』と言うのが専門家の意見の大勢です。」と強弁することは,「戦争の美化」そのものと思います。戦争の残虐さを伝えない,心に刻もうとしないことは,正しい教育とは思えません。
 ドイツと日本の戦後補償の違いについてですが,筆舌に尽くし難い被害を受けた本人や遺族に賠償を行っているドイツと,請求されても行わない日本の,どちらが人道的な対応をしているかは明らかであると思います。尚,ドイツが講和条約を結べていないのは東西に分裂させられたことと冷戦の影響が大きいとされています。
 熊原氏は「戦争を遂行した国は例外なく『戦争犯罪』を犯し」と述べていますが,同感です。だからこそ,戦争のない平和な社会を積極的に造らなければならないと思います。
 最後に,「新しい歴史教科書をつくる会」北海道支部は,同支部のホームページで「現状の歴史教科書は・・・すでに破綻したマルクス主義に基づく階級闘争史観にすぎない」と決めつけていますが,私が「つくる会」の教科書採択に反対している理由は,歴史の真実を伝えようとしないことにあります。

斉藤道俊 2005/05/31

 


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